松阪市奥香肌峡、父が笑って話してくれた月夜の泥棒のお祭り。
昔々、小さな村に少し変わった祭りがありました
松阪市奥香肌峡に、月夜の晩だけ子どもたちが泥棒になる、不思議なお祭りがありました。
なんだか、ちょっとくすっとして、でもあとからじんわりするような、そんなお話です。

山奥の小さな村に、カオル君という男の子がいました。
その村には、少し変わったお祭りがあったんです。
月がきれいに出る夜だけに開かれる、特別なお祭り。
その日だけは——
子どもたちは「泥棒」になっていい。
家々の庭や縁側、洗濯物干しに、そっと置かれたおやつ。
それを見つけて、好きなだけ“盗んで”いいんです。
なんだか不思議ですよね。怒られない泥棒なんて。
カオル君も、風呂敷を持って、こそこそと村を回ります。
一軒、また一軒。
見つけては、くすっと笑って、また次へ。
小さな村だから、やがて最後の一軒にたどり着きます。
そこは、ちょっと怖い頑固なお爺さんの家。
子どもたちは、声をひそめながら探しますが——
見つからない。
「あれ…ないね」
「どこにあるんだろう」
そんなとき、誰かが言いました。
「あ、ハシゴがある」
見上げると、屋根の上。
もしかして——

登ってみると、ありました。
藁葺き屋根の上に、たくさんのお菓子。
わあ、と歓声があがって、
小さな泥棒たちは、そこで夢中になって食べ始めます。
そのとき。
「引っかかったな、悪ガキどもめ」
低い声が、下から。
慌ててのぞくと——
お爺さんが、ハシゴを外してしまっていたんです。
「えっ、ちょっと待って!」
「降りれない!」
「助けて!」

さっきまでの楽しさが、一瞬でしゅんと小さくなる。
「反省したか?」
お爺さんの声。
「はい…」
「もう盗まないか?」
「はい…」
少しの間があって。
「しょうがない」
そう言って、お爺さんはハシゴを戻してくれました。
子どもたちは、急いで降りて、
そのまま一目散に家へ帰っていきました。
でもね。
たぶん、来年もまた登る子、いるんですよね。
ちょっと怖くて、でもちょっと楽しくて。
カオル君も家に帰って、この話をしました。
お母さんと、お婆さんに。
お婆さんは、にこにこ。
お母さんも、くすくす。
怒らないんです。
たぶん、このお祭りの意味を知っているから。

少しのいたずらと、少しの学びと、
そして、みんなで笑うための時間。
こういう記憶って、ずっと残るんですよね。
なぜかは、うまく言えないけど。
でも、たしかに、あたたかい。
まとめのことば
きれいに整った出来事じゃなくて、
ちょっとしたドキドキや失敗も含めて、思い出になるんだなあ…と感じます。
書道でも、うまく書けた一枚だけじゃなくて、
にじんだり、失敗したりした一枚も、あとから大事になったりするんですよね。
なんだか、それに少し似ている気がします。
追記(エピソード)
このお話、実は作り話ではなくて——
私の父、馨(カオル君)の、子どもの頃の本当の思い出なんです。
小さい頃、何度も何度も、楽しそうに話してくれました。
屋根の上のお菓子のことも、
あのちょっと怖いお爺さんのことも。
その父は去年、87歳で他界しました。
不思議と、この話、月がきれいな夜になると思い出すんです。
そして、もうひとつ。
父の孫、私の姪っ子が小さかった頃、
このお祭りをもう一度やってみたことがあるんです。
泥棒の格好をして、こそこそ歩いて、
お菓子を見つけては、笑って、また走って。
あのときの子どもたちの顔、
ほんとうに楽しそうで——
「ああ、同じなんだなあ」と思いました。
時代が変わっても、
子どもがわくわくする気持ちは、変わらないんですね。
このお祭りは、秋の十五夜の夜。
お月見の日の、少し特別な時間でした。
ススキを飾って、
お団子をお供えして、
静かな夜に、子どもたちの足音と笑い声。
なんだか全部が、やわらかくて、懐かしい。
うまく言えないけれど、
こういう記憶が、心の奥にずっと残るのかもしれません。
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読んでくれてありがとうございます。
みなさんにも、ちょっと変わったお祭りの記憶がありませんか?
よかったら、その話、聞かせてくださいね。
これからも、懐かしくてほっとする話を書いていきますね。
ブログは毎日書いています。
また遊びに来てください。
投稿者プロフィール

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はじめまして、日本習字・月兎教室のはるちゃんです。
「放課後、一番好きな場所」を目指して、
子どもたちが安心して通える教室を続けています。
小さな手で筆を持っていた子が、
成長していく姿をたくさん見てきました。
一人ひとりのペースを大切に、
楽しく、そしてしっかり力がつく指導を心がけています。
✔ 指導・実績
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