榊莫山先生を観に三重県立美術館へ行ってきました

※画像内の展覧会ポスターは三重県立美術館配布資料を使用しています。
※右側の美術館風景はイメージ画像です。

先日、三重県立美術館で開催されている榊莫山先生生誕100年展を観に行ってきました。

テレビCMやバラエティ番組で親しまれた「バクザン先生」。

その親しみやすい姿からは想像できないほど、会場には圧倒的な作品が並んでいました。

今回は特に心に残った作品について書いてみたいと思います。


「何⁉︎ この中学生‼︎」と驚いた若き日の書

まず度肝を抜かれたのが、中学生時代の作品です。

思わず、

「何⁉︎ この中学生‼︎」

と声が出そうになるほどでした。

単に字が上手という言葉では表現できません。

線の強さ、伸びやかさ、紙面全体を支配するような存在感。

後に莫山先生となる才能が、すでにこの頃から完成されていたことに驚かされます。

若き日の作品を見ただけでも、この展覧会を訪れた価値があったように思いました。


良寛や芭蕉を思わせる晩年の世界

晩年の作品には、また違った魅力があります。

力強さの中に温かさがあり、どこか飄々としていて自然体。

その姿は私には、良寛先生を思わせました。

また、自然の風や季節の移ろいをそのまま作品へ映し出す感覚には、松尾芭蕉の俳句にも通じるものを感じます。

技術を超えたところにある豊かな人生そのものが、作品から伝わってくるようでした。


伊賀への愛情が詰まった「伊賀八景」

特に印象に残ったのが《伊賀八景》です。

故郷・伊賀の美しい風景を作品として残したい。

そんな大きな志を感じました。

そして何より素晴らしいのは、その思いを実際に作品として完成させていることです。

風が吹き抜ける高原、山並み、里の風景。

伊賀を愛する気持ちが一枚一枚に込められていました。

地元三重県に暮らす私たちにとっても、とても親しみ深い作品群です。


寒山拾得(かんざん・じっとく)の出会い

今回、私が特に感激したのが寒山拾得を描いた作品でした。

寒山と拾得は、中国唐代に伝わる二人の名物和尚です。

世間の評価や肩書にとらわれず、自由に笑い、詩を詠みながら生きた人物として知られています。

以前このブログでも、阿倍仲麻呂と李白の交流について書きましたが、その頃の中国文化の豊かさを感じさせる存在でもあります。

寒山拾得の姿は、若くして書壇の頂点に立ちながらも、自らの道を選んだ莫山先生にもどこか重なって見えました。

作品の前で思わず笑みがこぼれる、そんな温かい時間でした。

莫山先生の作品集と、一筆箋です。ページを開くのが楽しみです。

本当は展示作品も撮影したかったのですが、私のiPhoneはシャッター音が消せず、静かな会場で気になってしまい断念しました。(※撮影はOKだけど、動画はNG,SNSの投稿もNGでした。)

その代わりに帰りに本を一冊購入。

しばらくはこの本を開きながら、莫山先生の世界をもう一度ゆっくり味わいたいと思います。


明日までの開催です

こんな素晴らしい展覧会ですが、残念ながら開催は5月31日(日)までです。

もし明日お時間のある方は、ぜひ足を運んでみてください。

本や写真では伝わらない墨の潤渇、筆の勢い、紙面からあふれる生命力を感じることができます。

生誕100年 榊莫山展

  • 会場:三重県立美術館
  • 住所:三重県津市大谷町11-11
  • 会期:2026年5月31日(日)まで
  • 開館時間:9:30~17:00(入館は16:30まで)

書を学ぶ方にも、芸術が好きな方にもおすすめの展覧会です。


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