痛快かな書道「現代訳・枕草子・百人一首」松阪市月兎教室
やわらかな仮名で、ことばの機知を味わう時間。
本日は、才気あふれる一首を、静かな余白とともに。

原文(かな)
夜をこめて 鳥のそら音は はかるとも
世に逢坂の 関はゆるさじ
(よをこめて とりのそらねは はかるとも
よに あうさかの せきはゆるさじ)
現代語訳(やさしく)
夜がまだ明けないのに、鶏の鳴きまねでごまかそうとしても、
あの函谷関なら通れたかもしれませんね。
でも、この「逢坂の関」は、決して開きませんよ。
――つまり、あなたとは、もう逢いません。
ことばの芯
- 夜をこめて:夜の深いうちに
- 鳥のそら音:鶏の“にせの鳴き声”
- 世に:決して(強い否定)
- 逢坂の関:関所+「逢う」を掛けた言葉
- ゆるさじ:絶対に許さない
教養とユーモアが往復する、平安

中国『史記』の逸話――孟嘗君が鶏の鳴きまねで関を開けさせた話。
それを踏まえ、清少納言は「あなたの言い訳も“そら音”でしょう?」と返す。
さらに藤原行成が「逢坂の関ですよ」と返し、そこへこの一首。
教養とユーモアが往復する、平安サロンの粋な時間です。
この歌は一言でいうと
「あなたの言い訳はウソでしょ。だからもう会わない」
です。
キモは2つだけ
- そら音(鶏の偽の鳴き声)=「言い訳はウソ」
- 逢坂の関(掛詞)=「関所」と「逢う・会う」をかけて拒絶
ニュアンスの鋭さ
「ゆるさじ」はただの拒否ではなく、
- 絶対に通さない
- 取りつく島もない
というかなり強いシャットアウト。
つまりこの歌、上品に見えて中身はかなりバッサリです。
もう一段だけ深く
この歌の面白さは
- 中国の教養(函谷関の故事)
- 和歌の技巧(掛詞)
- 会話としての応酬(リアルなやり取り)
この3つが同時に成立しているところ。
ただの恋の歌じゃなくて、「知的バトルの一手」なんですよね。
ひとことで言い換え
現代風にするとこんな感じです:
「その“急用あったんだよね”って話、完全に作り話でしょ?もう会いません。」
かなりドライで痛快な一首です。
書で味わうポイント

現代訳を読んでみると…清少納言は聡明な女性だったことがうかがえますね。
草稿で、メモ書きして、イメージを膨らませ、どんな仮名作品にしようかと
思いあぐねる時間が大好きです。生け花のように、文字を活ける、そんな感じです。
奈良の壷阪寺をご存じですか?
3月、お雛様の時期に清少納言がいるんですよ!

すごくきれいで、ちゃんと筆をもって枕草子を書いているんですよね。
春はあけぼの 夏は夜
秋は夕暮れ 冬はつとめて
寺は壺阪 笠置 法輪
と書かれています。
奈良の壷阪寺は枕草子ゆかりのお寺で
目のご利益があるという素晴らしいお寺です。
藤原行成について
※藤原行成は三蹟(さんせき / 三跡)の一人、 小野道風(おののとうふう・おののみちかぜ)、藤原佐理(ふじわらのすけまさ)とともに、平安時代の優れた書家3人として称えられている人です。
臨書部では、今月4月からこの、藤原行成の書を臨書しています。
半紙、条幅(条幅)共に、気合が入ると、生徒さんは張り切っています。
まとめ
知識があるほど面白い。けれど、まずは書いてみると、言葉が身体に馴染みます。
痛快さと上品さが同居する一首、ぜひ一緒に味わいましょう。
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小さな気づきを大切にしながら、ブログを毎日更新しております。
書のこと、教室のこと、心に残るひとときを綴っています。
投稿者プロフィール

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はじめまして、日本習字・月兎教室のはるちゃんです。
「放課後、一番好きな場所」を目指して、
子どもたちが安心して通える教室を続けています。
小さな手で筆を持っていた子が、
成長していく姿をたくさん見てきました。
一人ひとりのペースを大切に、
楽しく、そしてしっかり力がつく指導を心がけています。
✔ 指導・実績
・日本習字 漢字八段
・幼児〜大人・高段位まで指導
・オンライン対応あり
ひとこと🐰
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